循環器内科について
循環器内科では、狭心症・心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈硬化、動脈瘤などの血管と心臓の疾患を診療しています。血管や心臓の疾患には生活習慣病が大きくかかわっており、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)などの進行によって発症するケースが多くなっています。そこで当院では動脈硬化や動脈瘤など循環器の状態を確認しながら生活習慣病の治療も同時に行うことで、より的確な治療や予防につなげています。
日本人の死亡原因は、約3分の1が循環器疾患
循環器疾患は死亡原因だけでなく、寝たきりになる原因としても大きな割合を占めています。動脈硬化や心房細動(不整脈の1種)という循環器疾患から起こる脳卒中は、寝たきりになる原因の約3分の1を占めています。循環器の状態を治療で改善して、死亡や寝たきりの原因となる病気の予防と健康寿命を延ばしましょう。
循環器内科の受診をおすすめするケース
- 高血圧症
- 胸の痛み
- 胸が強く痛むことがある
- 胸を締め付けられているような感じがする
- 息苦しさ
- 運動や歩行時に胸が苦しくなり、少し休むと楽になる
- 横になると息苦しく感じる
- 走るとひどく息切れする
- 脈
- 動悸がある、胸が理由なくドキドキする
- 鼓動が速くなることがある
- 鼓動が以前より強い・弱い気がする
- 脈が乱れる
- 脈が飛ぶなど不規則になる
上記のような症状がある場合には、1度ご相談にいらしてください。
特に、糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症(痛風)・メタボリックシンドロームなどの生活習慣病がある場合、循環器の状態をしっかり把握することでより的確な治療が可能です。早めに循環器内科を受診してください。
循環器に起こる主な疾患
高血圧
日本では、40~74歳の男性約6割、女性約4割が高血圧症とされています。高血圧症は、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態のことで、一度だけ高い血圧が出ても高血圧症ではありません。高血圧症では絶えず血管に高い圧力がかかっているため、動脈硬化のリスクが上昇します。動脈硬化は狭心症や心筋梗塞といった循環器疾患、脳出血や脳梗塞の原因になりますので、健康診断で高血圧を指摘されたら早めに循環器内科を受診してください。
高血圧の治療
生活習慣改善(食事療法・運動療法)の指導と、薬物療法があります。
治療と同時に、毎日決まった時間にご自宅で血圧を測定・記録して、受診の際に変動をチェックします。
食事療法
減塩 目標は1日6g未満
適正な体重(BMI25未満)を保つための食事
栄養士や医師が具体的でわかりやすく食事療法をご指導しています。
運動療法
適度な運動
30分の散歩など軽い有酸素運動を最低週に3回、できれば毎日行います。
激しい運動は必要ありません。
その他
禁煙
アルコールを控える
十分な睡眠や休養
ストレス解消
脂質異常症(高脂血症)
「コレステロール」や「中性脂肪(トリグリセライドなど)」の血中濃度に異常がある状態が続き、脂質が血管の内側にたまって動脈硬化を進行させます。自覚症状なく進行して、その結果、心筋梗塞などの循環器疾患や、脳梗塞を引き起こします。健康診断で脂質の異常を指摘されたら、早めに循環器内科を受診してください。
脂質異常症の治療
生活習慣改善(食事療法・運動療法)の指導と、薬物療法があります。
食事療法
適正な体重(BMI25未満)を保つための食事
タイプにより食事内容は変わります。高LDLコレステロール血症は、食物繊維が多いメニューを心がけ、動物性脂肪やコレステロールの多い食品を避けてください。高トリグリセライド血症の場合には、糖質やアルコールの制限を行います。
栄養士や医師が具体的でわかりやすく食事療法をご指導しています。
運動療法
適度な運動
30分の散歩など軽い有酸素運動を最低週に3回、できれば毎日行います。
激しい運動は必要ありません。
その他
禁煙
十分な睡眠や休養
ストレス解消
不整脈
一過性の不整脈と、心疾患につながる可能性があり早急な治療が必要な不整脈があります。心臓は電気信号によって拍動していますが、電気信号が乱れて不規則な動きになるのが不整脈です。心臓は1日に約10万回の拍動をしており、不整脈は誰にでも起こる可能性があります。危険なものを正しく診断するためには循環器内科を受診する必要があります。
治療
脈が遅くなる徐脈の場合はペースメーカーを使い電気の刺激を与えることで不整脈を改善させます。脈が早くなる頻脈の場合は投薬治療が第一選択肢となります。改善が見られない場合は高周波カテーテル治療を行うこともあります。
心筋梗塞
心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まって血流がなくなり、心臓の筋肉である心筋が壊死を起こしている状態です。一刻も早く治療を受ける必要があります。激しい胸の痛み、呼吸困難、冷や汗、嘔吐などの強い症状が現れますが、高齢者や糖尿病がある場合には感覚が鈍くなっていて、ほとんど痛みなどを感じないこともありますので注意が必要です。
心筋梗塞の治療
冠動脈の閉塞を少しでも早く回復させる必要があります。その後の経過を大きく左右するため、速やかな受診が不可欠です。
治療では、冠動脈の血栓を溶かす血栓溶解療法、血管を風船で拡張しステントを移植する冠動脈形成術、血栓の吸引などを行います。
狭心症
心臓の筋肉(心筋)を絶えず動かしていくためには、大量の酸素と栄養が必要です。こうした酸素や栄養を運ぶのが冠動脈です。動脈硬化などにより冠動脈の血管が狭くなって血流が滞りを起こすと、心筋が酸素不足になり狭心症を引き起こします。進行すると冠動脈は細くなっていき、最終的には閉塞して心筋梗塞を起こします。進行する前にしっかり循環器内科で治療を受けてください。
狭心症の治療
原因のほとんどは動脈硬化です。そのため、生活習慣病の治療と同様な食事療法と運動療法が有効です。
加えて薬物療法を行い、必要な場合は狭くなった血管を風船で拡張しステントを移植する冠動脈形成術を行います。
心不全
心臓の筋肉が収縮と弛緩機能低下を起こし、血液が身体中に行きわたらなくなっている状態です。一般的には徐々に症状が現れますが、突然強い症状が現れる場合もあります。初期症状には階段の上りなどによる息切れがあります。この段階で循環器内科を受診することをおすすめしています。
なお、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症、過労、狭心症や不整脈、塩分や水分の摂取過多などにより、心臓の機能が急に悪化すると心不全リスクが高まりますのでご注意ください。
心不全の治療
急激に悪化した急性心不全では、入院による早急な治療が必要です。酸素吸入や心臓の働きを一時的に高める薬などを使って治療を行います。心不全の原因によっては手術が必要になることもあります。状態が安定している慢性心不全の場合には、薬物療法や運動療法が中心です。生命予後と生活の質(QOL)の改善を目指した心臓リハビリテーションを行っていきます。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化が手足の血管に狭窄や閉塞を起こして発症します。特に足に起こりやすい傾向があり、末梢部分に循環障害が起こって必要な酸素や栄養を送り届けることができなくなります。初期症状には、冷え、しびれ、痛みがあり、進行すると潰瘍や壊死などが起こります。ほとんどの場合には少しずつ進行していきますが、血栓ができると急激に悪化する場合もあります。
閉塞性動脈硬化症の治療
動脈硬化が原因ですので、生活習慣病の治療とコントロール、運動療法、食事療法が重要です。抗血小板薬などを用いた薬物療法も行うことがあります。進行している場合には血管内治療や外科手術が必要になります。
足に起きた閉塞性動脈硬化症では、歩くことで血流改善と血流のバイパスである側副血行路の発達が期待できるため、ウォーキングや散歩の習慣化の重要性が特に高くなっています。