睡眠時無呼吸症候群(SAS)について
肥満、ノドやアゴの骨格的な問題などにより、睡眠時にノドの空気の通り道が塞がって低呼吸や呼吸停止を起こす疾患です。息苦しさから眠りが浅くなるため慢性的な睡眠不足になり、日中に激しい眠気を感じるなど日常生活に支障が出ます。実際に睡眠時無呼吸症候群が原因とみられる大きな事故が日本でも繰り返し起こり、報道されています。また、高血圧、糖尿病、不整脈などの心疾患、脳卒中などのリスクが上昇することもわかっています。
睡眠時無呼吸症候群の症状
いびきや無呼吸などは自分では気が付きにくく、ご家族に指摘されて分かることが多いです。下記のような症状があったら、早めにご相談ください。
睡眠時の症状
- いびきをかく
- 睡眠時に呼吸が止まることがあると指摘された
- 夜中に何度も起きてしまう
起床時の症状
- 朝目覚めた際に、体が重い
- 長時間寝ても熟睡感がない
- 起床時の頭痛
- 起床時に喉の痛みがある
- 起床時に口が乾いている
日中などに起こる症状
- 日中に抵抗できないほど強い眠気が起こる
- 集中力や記憶力が低下した
- 倦怠感がある
- ED(勃起不全)
睡眠時無呼吸症候群の検査と診断
普段の睡眠や起床時・日中に起こる症状などについてくわしくうかがって、検査を行います。
この検査は、ご自宅で睡眠時に行っていただくため、検査機器をお渡しし、一晩装着して返却していただいています。検査内容を解析し、約1週間後に結果が出ます。ご希望の日にご自宅まで機器を配送し、装着して検査後に送り返していただく方法もあります。
検査結果により治療法は異なってきますが、重症の場合にはすぐにCPAPによる治療を行うことをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群の治療
原因、ライフスタイルなどを考慮しながら治療方針を決めていきます。
CPAP療法
(Continuous Positive Airway Pressure=持続陽圧呼吸療法、通称シーパップ)
最も効果が高く、日本や欧米で主流になってきている治療法です。就寝時、鼻に専用のマスクを装着して圧力を加えた空気を送り込み、気道の閉塞を取り除いて睡眠中のスムーズな呼吸を実現します。
重症の方を含め、ほとんどのケースで治療を開始したその夜からいびきや無呼吸がなくなり、すっきりと目覚めることができます。
マウスピース
軽症の場合、専用のマウスピースでアゴの位置を少し変えることで、気道の閉塞を改善させることが期待出来ます。
マウスピースは歯科クリニックで作成する必要があるため、当院では専門の歯科医師をご紹介しています。
生活習慣改善
肥満解消
肥満は睡眠時無呼吸症候群発症の主な原因であり、肥満解消により症状の改善が期待できます。肥満解消は生活習慣病予防にも役立つため、食事療法や運動療法をしっかり行っていきましょう。
禁酒・節酒
アルコールは筋肉を弛緩させ、気道の閉塞を悪化させます。そのため、寝る前の飲酒は避け、その他の時間帯もできるだけアルコールを控えるようにしましょう。