最新の保険適応レーザー治療
静脈にレーザーファイバーを挿入し、血管の内側からレーザー照射によって静脈を閉塞させて逆流を止める治療法です。
1ヵ所の小さい傷のみで治療でき、従来のストリッピング術(伏在静脈抜去術)と比較して、低侵襲かつ短時間で治療が可能なため患者さんの負担が少なく、かつ同等の効果を得ることが出来きます。
この方法はまだ新しい治療法であり、行われている病院も少ないですが、当院は「下肢静脈瘤血管内焼灼術実施施設および実施医」の認定を受けております。
当院では、従来の装置と比較して、より効果が高く疼痛や内出血の合併症が少ない最新の波長1,470nmレーザー装置を使用しております。
レーザー治療のメリット
- 傷が目立ちません
穿刺法を用いることで、1~2ミリの切開で静脈にアクセス可能です。切開がとても小さいため術後の傷がほとんど目立ちません。 - 出血が少ない
他の治療法より出血が少ない治療法であるとされています。 - 麻酔リスク軽減
局所麻酔と軽い静脈麻酔だけで治療を受けることができ、麻酔リスクを軽減します。 - 確実性が高い
レーザー治療法による静脈の解剖学的閉塞率は、90~100%と報告されています。また、再発率も低くなっています。 - 身体への負担が少ない
侵襲が少ないため身体への負担が少なく、日帰りで手術を受けることができます。入院の必要がないため、お忙しい方でも治療を受けられます。
ELVeSレーザー1470について
下肢静脈瘤治療に関して、レーザー機器はELVeSレーザーのみが日本で健康保険適用を受けています。この機器には、980nmと1,470nmの2種類があります。2011年4月に国内で初めて「下肢静脈瘤血管内治療レーザー」として980nm ELVeSレーザーが医療機器の承認を取得しています。効果と安全性の高さからこの治療を取り入れる医療機関が増え続け、現在では下肢静脈瘤の標準治療になっています。
2014年5月には、後継最新機種として1,470nm ELVeSレーザーが登場し、健康保険適用の医療機器としての承認を受けました。この1,470nm ELVeSレーザーは、従来の980nm ELVeSレーザーに比べ、手術後の痛みや皮下出血が大幅に軽減しています。
当院では、この1,470nm ELVeSレーザーを導入して治療にあたっています。
瘤切除術(スタブ・アバルジョン法)
ふくらはぎなどにできるボコボコしたコブ状の静脈瘤治療に用いられる手法です。レーザー焼灼術やストリッピング術は、比較的まっすぐな太ももの静脈を主に治療する方法です。コブ状の静脈瘤にはTLA麻酔下で行うスタブ・アバルジョン法が適しています。切開は1~2mm程度と小さく、通常は縫合の必要もないため、傷跡もほとんど残りません。レーザー焼灼術やストリッピング術と併用して行うことも多くなっています。
圧迫療法
弾性包帯(だんせいほうたい)や弾性ストッキングにより足全体を程よい強さで圧迫し、静脈瘤の進行を防ぐのが圧迫療法です。
静脈内に貯留した余分な血液は減り、深部静脈の流れが促進され、下肢全体の血液循環が改善されます。
注射で治す硬化療法
硬化療法は静脈に硬化剤を注入し、静脈瘤をつぶしてしまう治療法です。硬化剤は血管の内側をくっつける糊のような働きをします。血液が流れなくなった血管は徐々に退化し、そのうち静脈瘤は消えてしまいます。硬化療法は注射するだけで済むため、患者さまにとって負担の少ない治療法です。
代表的な合併症としては、瘤内血栓や色素沈着があります。瘤内血栓は3~6ヶ月、色素沈着は1~3年でほとんど消失します。
ストリッピング術
静脈瘤は静脈の弁不全を原因とするため、弁不全のある伏在静脈本幹を手術で取り除いてしまうのがストリッピング術です。伏在静脈にストリッパーというワイヤを挿入し、静脈をワイヤに縛り付け、ワイヤと一緒に静脈を抜き取るという方法です。
弁不全と瘤化によりもはや正常な静脈としては機能していないので、抜き取ってしまっても下肢の血行には全く問題はありません。
手術の方法や麻酔の進歩によって、最近では日帰り手術で行えます。